明るくきれいな室内霊園
「クリプタ行徳スタイル」にこめた想い
要望は、「宗教・宗派を超えて誰でも利用できる、明るく親しみのある納骨空間」であった。
宗派を超え、教義を超えて存在するものとは、儀式や方法ではなく「祈る行為」そのものである。
静かに祈り、瞑想することができる場所、すなわち「祈りの壁」を設けることがこの計画の最も重要なファクターである。
・壁は祈りの対象であってほしい
・壁は力強くあてほしい
・壁は荘厳であってほしい
・壁は祈る人の気持ちが染み込み、増積していってほしい。
いろいろ思考しながら、寺院や教会などの宗教建築を見て廻った。
一方で、内部には美術館のような空間がほしかった。気品のある空気が流れ、静けさに包まれた空間、その中に立っていると自分が少しづつ変わってゆく、そんな素敵な空間がほしかった。
その空間の中に「祈りの壁」が自立しているイメージ。
これで設計の方向は完全に固まった。
納骨堂であるからには当然、遺骨が納められる。
遺骨と遺族は「祈りの壁」を隔てて対面するがあくまでも空間は一体化させる。
祈りの壁は自立し、それぞれの天井は一体となり、遺骨と遺族は同じ空気の中にいるのである。
地上にはトップライトを設け光が差し込むようにしよう。
天空とも繋がったこの光は「祈りの壁」を照らし、堂内をくまなく明るくしてくれる。
美しい空間の中で静かに眠ってほしい。こんな遺族の願いをこの空間に凝縮しよう。
設計は迷いなく進んだ。
こうして誕生した納骨堂であるが、さて、「開かれた、明るい納骨空間」となったであろうか。
今後、この空間が宗教・宗派を超えて、多くの人びとの祈りの場となる事を心から期待しています。