どのような場所が自分にとって居心地が良いのか。その答えは経験でしか得られないかもしれない。
引越や住み替え、旅行等の経験によって理想の住まいや場所、環境が見えてくるのではないだろうか。
様々な経験の集大成として人生の締めくくりを迎える場所を「終の棲家(ついのすみか)」と言われている。
それならば、納骨堂としての本建物は「終の後の棲家」と言えるのではないだ ろうか。
では、家族や親戚、友人や知人が訪れる「終の後の棲家」とはどのような建物であるべきか。
それは自分の居心地の良さだけでなく訪ね来る人がやすらぎを感じ穏やかでやわらかな時間を過ごすことのできる場であってほしい。
その「終の後の棲家」を目指すことが設計の目的であると考えた。
本建物の正面には武蔵野の面影を色濃く残す赤塚の丘陵地を活用した赤塚植物園が有り、600種以上にものぼる植物が豊かに四季折々の表情を見せる。
その植物園側の1階に来訪者が憩う休憩スペースを配置することで、吹抜やガラススクリーンを通して季節のうつろいをまじかに感じ、広く開けた空との一体感が得られるように計画し、2階に位置する参拝所は休憩スペースの高い吹抜を介して植物園の景観が楽しめ、開放的な休憩スペースに対して落ち着いた場所となるように照明計画や内装素材等を変化させ、1階の法要スペースや1、2階の納骨スペースではさらに落ち着いた場所となるようにより変化させている。
その中でも休憩スペースや参拝所、法要スペースは来訪者のための場所であり、面積では建物全 体の約半分を占めるように計画されている。
家族や親戚、友人や知人が訪れる「終の後の棲家」は、その方々のための建物としても考えられるからだ。
居心地が良いと感じてくれたら、ちょくちょく訪れてほしいと思う。